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アロエを育てています。
毎日水をあげているのですが、その度に思い出すことがあります。

少し前になりますが、引っ越しをしました。
緑豊かな町から東京に。
1年間だけ東京を離れ、小さな町で暮らしていました。

そこは、鉄道のない町。
海と山と川に囲まれた自然の豊かな町でした。
鳥の声で起き、陽が沈んだら闇になり、
高いビルのない大空には流れ星の長い尾が弧を描きます。

私は、東京生まれの東京育ち。
今まで草むしりをしたこともありませんでした。
最初の頃は、出てくる虫一匹に大騒ぎ。
巨大なクモは当たり前。
ムカデも生まれて初めて見ました。

東京のように刺激的な物がなくても、
毎日変わる自然の表情が日々新鮮でした。

心細いこともたくさんあったけど、
地域の方にいっぱい助けていただきました。
本当に本当に、お世辞や建前なんかじゃなく、
思い出して涙が出そうになるくらい、支えていただきました。

家の前に野菜や卵がそっと置かれていたり、
急に玄関のドアを開けて、「こんにちわ!」って来てくれる人がいたり、
引っ越しの前は、毎日のように様子を見に来てくれた人もいました。

私はどこからどう見てもよそ者で
きっと「東京から来た変な人」だったと思います。
でも、ネットとかメールとかじゃなく、
直接的な人の温かさがそこにはありました。
当時の私には、それが本当にありがたかった。

このアロエは、その町で育てていたものです。
(…というか、植えたら勝手にもりもり育っていました。)
だから、水をあげる度にお世話になった方達が浮かびます。

そこに住んだのは本当に短い間だったけど、
私の中ではとても大きな、意味のある時間でした。
またいつか絶対に伺おうと思います。

人との関わりで悩むことも多いけど、
人に助けられていることがそれ以上に多くて、
それがとてもかけがえなくて、ありがたくて、
でも、このきゅっとなる感覚は正確に言葉にならない。

年齢を重ねる度に大切な人や場所が増えていくことを
とても嬉しく思います。

本当にありがとうございます。
そして、伝え切れなくてごめんなさい。